山のおじさん



今日は12回目の登頂。

いつもより早めに、午前11時すぎに外出した。

今日は山のおじさんに会えるかな?

虫除けの網、私の登山用とお揃いのもの、おじさんに・・って思って、いつも持ち歩いてるよ。

かれこれ、3週間くらい会ってない。

実は心配してたよ。

元気かどうか、電話してみようか・・とか毎日思ってた。

結局電話しなかったけどね。

いつもおじさんが私に気付いてくれてた。

そして、原っぱに座ったおじさんは、

左手で地面をトントン・・って

「ここ、座らんね」って。

まるで、ハイジとペーターになった気分になる。

原っぱに、並んで座って、

時に『昭和』な話を聞かせてくれる。

みかんが採れた時には、

リュックいっぱいにみかんを詰めてくれて、

そして、みかんを食べながら、山の中で、原っぱで、

おじさんが育てているニワトリやらヤギの話を

聞かせてくれた。

ニワトリのたまごも、多いときには20個くれた。

おじさんが栽培しているシイタケだって、

リュックいっぱいに詰めてくれた。

ある時には、シイタケ狩りをさせてくれて。

『昭和』な話で聞かせてくれた、

「秘密の場所」に連れて行ってくれた。

「秘密の場所」とは、

ふき やら ツワ が沢山生育している場所のことだ。

そこには、お亡くなりになった奥様すら

連れて行ったことがなかったそうだ。

バラのツルのトゲがあちこちに生い茂って、

足元だって危なかしくて、

まるでジャングルだった。

昔は今ほどのジャングルではなかったそうで( ´艸`)。

こんなところにワタシを連れてきたことに

少し戸惑っておられたけど、

でも、本来の目的だった つわ や ふき が 

沢山生い茂る光景を目にして、

それらを摘みながら、満足そうに

「幸せばい。 本当に幸せばい」って。

何度聞いただろう。 

そんなに幸せになって貰えて、嬉しかったよ。

おじさんの思っていた通りに、

つわ や ふき が沢山生い茂っていて、

それらを一緒に収穫し、

そしてたぶん、私に沢山の つわ や ふき を

持ち帰らせることも

嬉しかったのだろうと思った。

つわ のアクのとり方とか、

シイタケと一緒に甘辛く炒めて食べたら最高!!って

言ってたから、そうしたよ。おじさん。

時刻はもう夕刻で、陽が沈みかけていた。

その夕刻の空がこの写真。


帰り道、山道。道なき道。不安だった。

おじさんは、

「太陽が沈む方向に下りて行けば、人里に出る」

って言って、

道なき道を進んで行った。

私は、その後ろを追いかけて行った。

イノシシ避けのフェンスを乗り越えたら、

舗装された道に出た。

随分と下ってきた。

山の上に住む(たぶん)おじさん、

帰りが大変だろうと思うと、

私はこれまた不安になった。

おじさんはおじさんで、夕刻18時を過ぎてたからか、

私が夫から叱られないかを心配してくれていた。

電話番号を交換したのは、この次に会ったときだった。

かといって、平日電話をかけあうことは

一度もしていない。

今日、12回目の登頂を果たす前に、

軽トラックで下るおじさんとすれ違った。

いつもとおんなじ。

おじさんが気づいてくれて、クルマを停めた。

運転席の窓が開いて、「ひさしぶり!」って。

散髪に行ったのかな。サッパリしていたよ。

気のせい? 笑顔の奥で優しい瞳が潤んでいた?

少し痩せた? 

会えなかった間に、

まさか病気なんてしていなかったろうね?

なにせ、年齢不詳だけど、70~80歳くらいだろうから、

ひとり、山の中で(たぶん)暮らす

おじさんの健康が心配だったよ。

「元気にしとった??」って聞いたら、

「うん。ぼちぼちね」

ぼちぼち?? 気になった~~~(;_;)。

会わなかった3週間、残酷に時が流れたような気がした。

『時』って、『時間』って、

今までよく使っていたのは『薬』。

わかりにくいかな。

よく、『時間が薬』って言っていた。

『時』の優しさを感じる言葉。

今日私は、思った。

『時』は『残酷でもある』。

そして誰にも平等で。

まるで『自由』の象徴みたいだけど、

今日、私は思った。

おじさんにとって、

優しく穏やかな『時』の流れを願った。

登頂したら、頂上にある神社にいつも手を合わせ、

登頂できたことに感謝していた。

けれど、今日は違ったよ。

おじさんの健康を祈った。

「またね」って言って、私は上へ、おじさんは下へ。

またね。

追伸;さっき電話したよ。おじさん。
   山の中に暮らす(たぶん)からかな?
   通じなかったよ。
   電話も、「またね。」







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